【絵本】あまんきみこ作二俣栄五郎作きつねのおきゃくさま

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私が初めて自分で娘に買った絵本です。

0歳向けの絵本はあんまり詳しくないのである意味専門家の母が送るに任せていました。

 

そろそろ自分の好みを出してみても良いかな~って思って最初に買ったのがコレです。

 

 

 

 

 

腹ペコきつねが歩いていると、やせたひよこがやって来た。

がぶりとやろうと思ったが、やせているので考えた。

太らせてから食べようと。

そうとも、よくある、よくあることさ。

 

 

とってもテンポが良くて気持ちのいい文章です。

詩を朗読しているみたいな。

楽しく読み聞かせが出来ます。

 

ヒヨコを食べるつもりで連れて帰ったキツネはせっせとご飯を与えて太らせます。

そんなキツネの行動を「やさしさから」と勘違いしたひよこは、散歩にでかけた先で出会ったウサギとアヒルも、きつねの家に連れてきます。

 

住むところがないならおいでよ!キツネおにいちゃんはとっても親切だから!

 

キツネは3匹になった同居人に、せっせとご飯を食べさせます。

もちろん目的は、まるまる太ったところで美味しくいただくこと。

 

の、はずだったのですが…。

 

ある日、まるまる太った3匹を狙ってオオカミが襲ってきます。

キツネはそれはそれは勇ましく、オオカミと戦い、そして…。

 

 

なかなか衝撃の結末に、大人の方がジーンときます。

 

キツネから見れば、餌として見ていた存在に疑うことなく純粋な信頼を向けられ、ついつい情が湧いてしまったのでしょうか。

孤独に生きて来たであろうキツネに、初めてかけられた、暖かい言葉。

キツネは本当は、寂しかったのかも知れないな、と思いました。

 

そりゃあ、打算のない愛情と信頼を向けられて、嬉しくない人間はいませんよね!

と、言いたいとこですが、昨今はそうでもないように感じます。

子ども達には、人を信じるよりむしろ、疑う事を推奨せざるを得ない世の中ですもんね。

 

突然ですが、私は割と能天気で、人を疑う事を知らないタイプです。

人に何かをしてもらったら、善意でやってもらったと無意識に信じ込む性格です。

大学生のころから、一見しっかりしてるのに、物凄く騙されやすそうって言われてきました。

実際、ちょいちょい寸借詐欺とかあってました。

なのに、大人になった今でも懲りてなくて、よく主人に怒られています。

もう性分なんで今さら変えられないんです。

 

そうなんですよ。

現実世界では、ヒヨコ達みたいな性格の人間は、だまされて食い物にされてしまう事が多いんですよね。

 

だけどこれは絵本だから。

メルヘンの世界だから。

キツネの胸の内を知らないまま、この3匹はこれからも生きていく事になります。

ヒヨコとウサギとアヒルにとって、「キツネおにいちゃん」は最後まで、優しくて親切で、神様みたいな存在のままでした。

 

最後に見せたキツネの愛情に胸を打たれながらも、3匹の今後が心配です。

強く生きていって欲しい。

 

子育て世代になった今、とても考えさせられます。

人を見たら泥棒と思え、と教えたくはないけれど。

信じる事が大切だと、伝えたいけれど。

だけど、現実世界が全て、キツネのような「無条件で信頼にこたえてくれる人」ばかりではない。

悪意を持った大人だっているのです。

 

だがしかし。

例えば初めにヒヨコと出会った時、ヒヨコがキツネを疑って、逃げようとしたらどうなっただろう。

実際、散歩に出かけるヒヨコに対してキツネは「逃げる気かな」と疑って後をつける訳ですから。

逃げようとした瞬間に、食べられてしまった可能性が高いと思います。

 

そういう結末の方が、現実ではむしろありがちです。

 

ヒヨコ達の純粋さがあったから、キツネとの間に絆が生まれたのも事実なのです。

 

最後にネタバレになりますが、絵本の最後でキツネは死んでしまいます。

でもそのときのキツネの表情は、なんとも満足げ。

 

キツネは死んでしまったけれど、不幸ではなかったのだと思います。

オオカミに見つかる前にヒヨコ達を食べてしまっていれば、自分が死ぬことはなかった。

でも、こんなに満たされた気持ちになる事もなかった。

 

ヒヨコ達から見れば、疑う気持ちがなかったからこそ、優しいキツネとの暖かい時間が生まれて、命も助かった。

キツネ側から見れば、ヒヨコ達の言葉を素直に受け止めて信じたから、死ぬことになってしまった。でも、これまで感じたことのないほど、心は満たされた。

 

色々な解釈はあると思いますが、これは両者にとって、悲しくはあるけれど幸せな結末だったのだと私は思います。

 

書いていてなんとなく分かってきました。

 

誰でも、表面上の言葉や行動だけでは図れない真意がある。

自分の行動次第で、相手の心が変わる事もある。

だけど、疑う事を知らず人の善意に頼るだけでは、いつまでも、守ってはもらえない。

信じる・疑うの二択ではなくて、相手の本質を見抜ける力を養い、一人で生きていける力をつけること。

 

これが私が娘に教えるべきことなんだろうな。

どうすればいいのかはまだよく分からないので、これから模索する予定ですが;;

 

この絵本が書かれたのは1984年。作者のあまんきみこさんは戦争経験者です。

著作「ちいちゃんのかげおくり」は、子どもの頃、ほとんどの方が教科書で読んだのではないかと思います。

この方もそうですが、佐野洋子さん、やなせたかしさん、那須正幹さん、などなど。

戦争経験されている絵本作家・児童文学作家の方の作品は名作ぞろいですが、人の善悪や生死について考えさせられる作品が多いです。

 

成長と共に、娘と一緒に読んでみたい作品がたくさんあって楽しみです。

 

キツネの最期の絵、それに添えてある言葉の意味が娘の胸に迫るのは、いつになるのでしょうか。

 

 

ところで、キツネが3匹に食べさせている食事の中身はなんなんでしょうね。

またしても本筋とは関係ないしょーもない事が気になって仕方ありません。

多分、野菜とかキノコとか、森で採れる山菜的なものなんだろうな。

魚も入ってるかも。

だって目の前にいるごちそう(※ヒヨコたち)を食べることを躊躇しているのに、この中に別の動物の肉とか入ってたら結構むごい話ですよ、これは。

 

 

 

  • 2017 12.06
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